追い込み漁は袋網をふんわり丸く張ることが、漁の成否を分ける

『沖縄 最後の追い込み漁』公式サイト

海と漁の体験研究所では、著者・大浦佳代が20年以上にわたり記録してきた宮古島狩俣集落・友利組の追い込み漁の歴史と文化を紹介しています。素潜りの集団漁法「追い込み漁」に関する一次情報、漁師たちの生きざま、海の自然への洞察などをまとめたサイトです。

沖縄 最後の追い込み漁 宮古島狩俣集落・友利組

海の狩人たちの記録

なぜこの本を書いたか?

このたび、『沖縄 最後の追い込み漁―宮古島狩俣集落・友利組』という本を上梓しました。宮古島に今も息づく、伝統的な素潜りの集団漁法「追い込み漁」がテーマです。

この漁法に出会ったのは、20年ほど前のことです。漁師さんたちと一緒に泳いで魚を網に追い込む体験は、狩猟本能に響くと同時に、「魚も人も同じひとつの命だ」と思わされる衝撃的なものでした。明るいサンゴ礁で繰り広げられる命の攻防に、わたしはすっかり魅了され、狩俣に通うようになりました。

組を率いる親方は、87歳になる今も現役です。親方や長老の方々からお聞きする海の自然への洞察、漁法の叡智、信仰などのお話もまた、大きな楽しみとなりました。親方は、海の生態系に溶け込むように生きてきた最後の世代です。文字通り「裸ひとつ」で漁をする素潜り漁師の生きざまに、ただのファンダイバーのわたしは驚嘆するばかりでした。

そしてふと気づくと、かつて沖縄中にあった追い込み漁の組は消え、規模の大きな組は友利組だけに。その友利組も今、世代交代の時期を迎えています。親方からお聞きした膨大なお話を記録として残しておくべきではないか──。そんな急き立てられるような思いから、この本を書くことにしました。

潮汐のリズムに同調し、海の生態系に溶け込むように生きてきた人たちの時代が今、過ぎ去ろうとしています。この本によって、狩俣の追い込み漁師の生き様をわずかでも後世に伝えることができれば。そして陸上の自然に比べると距離的にも意識の面でも遠い存在である海について、少しでも関心が寄せられるきっかけになれば。そう願ってこの本をまとめました。(あとがきより)

ぜひ購入いただければ幸いです。

著者プロフィール

本書について

沖縄 最後の追い込み漁 宮古島狩俣集落・友利組
大浦佳代著、2025年11月、南方新社刊
四六判、386ページ、カラー口絵16ページ、本文中に写真多数
定価2,860円(本体2,600円+消費税)



追い込み追い込み漁の実際をドキュメンタリーと聞き書きで紹介。また沖縄の追い込み漁の歴史をたどり、狩俣の追い込み漁の現在地を確認します。

親方(友利哲雄さん)の70年にわたる漁師人生を綴ります。狩俣の海の自然や古い集落のこと、漁師人生をいやおうなく左右した日本と沖縄の漁業史にもふれます。

第3章
追い込み漁の魚たち

追い込み漁でとれる魚と生態系がテーマ。カラフルな熱帯魚や匂いの強い小魚など、「こんな魚を食べるのか!」と驚くようなローカルフードの世界を紹介。恵み豊かなサンゴ礁の生態系、素潜り漁師の自然観についても掘り下げます。

第4章
追い込み漁の身体性

素潜り漁の身体性に注目。潜水につきまとう水圧の変化、息こらえと溺れ、危険生物とのつき合い方など、さまざまなリスク回避について紹介します。

第5章
女たちが守るシマと海の男たち

海の安全と豊漁を願う祭祀、縁起かつぎ、民間巫者ユタの存在など、素潜り漁師の精神世界をのぞきます。親方のお母さんはユタであり、集落祭祀の神役でもありました。海で生きる人を守る「目には見えない力」に思いをはせます。

第6章
追い込み漁の今とこれから

追い込み漁の現代的な価値、人と海との距離について改めて考えます。

袋網をふんわり丸く張ることが、漁の成否を分ける/沖縄 最後の追い込み漁 宮古島狩俣集落・友利組
袋網をふんわり丸く張ることが、漁の成否を分ける
息をこらえつつ、力を合わせて袖網の裾をしぼる/沖縄 最後の追い込み漁 宮古島狩俣集落・友利組
息をこらえつつ、力を合わせて袖網の裾をしぼる
素潜り漁では、人間も魚と同じ海の生き物のよう/沖縄 最後の追い込み漁 宮古島狩俣集落・友利組
素潜り漁では、人間も魚と同じ海の生き物のよう
網に閉じ込められ、絶体絶命のアイゴの群れ/沖縄 最後の追い込み漁 宮古島狩俣集落・友利組
網に閉じ込められ、絶体絶命のアイゴの群れ
木枠の水中メガネを使った最後の世代/沖縄 最後の追い込み漁 宮古島狩俣集落・友利組
木枠の水中メガネを使った最後の世代
ぎっしり魚が詰まった袋網を船に引き上げる/沖縄 最後の追い込み漁 宮古島狩俣集落・友利組
ぎっしり魚が詰まった袋網を船に引き上げる
早い者勝ちの浜売りは、目と手の動きが忙しい/沖縄 最後の追い込み漁 宮古島狩俣集落・友利組
早い者勝ちの浜売りは、目と手の動きが忙しい
親方の友利哲雄さん。潮や地形を読み、網を張るポイントを熟考する/沖縄 最後の追い込み漁 宮古島狩俣集落・友利組
親方の友利哲雄さん。潮や地形を読み、網を張るポイントを熟考する
沖縄 最後の追い込み漁──宮古島狩俣集落・友利組チラシ・オモテ
沖縄 最後の追い込み漁──宮古島狩俣集落・友利組チラシ・ウラ

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