追い込み漁で驚いたことの一つです。ダイバーにとって、チョウチョウウオは眺めて楽しむ「美しい魚」。しかし、地元では「美味しい魚」として人気なのです。
友利組では、魚を漁港で浜売り(直売)します。これは早い者勝ち。コンクリートの床に魚がドバーッと広げられると、お客さんは目と手を忙しく動かして、目当ての魚をつかみ取っていきます。チョウチョウウオの仲間は、まぐれのように数匹しか入らない魚ですが、さっと選び取られます。
狩俣の方言で、チョウチョウウオは「キヌパー」。薄く丸いフォルムを「木の葉」になぞらえ、言いえて妙。いっぽう池間島の方言は「カビッチャ」(意味は知りません)。すぐ近くなのに方言名がまったく違う。それだけ生活に密着している魚なのです。
「いちばん美味しいのは、トゲチョウチョウウオさね」と、親方の哲雄さんはいいます。
「池間島ではマラウイカビッチャというさ。マラはちんちん、ウイは勃つという意味さね。オスがメスを追いかけ回しているのと、年中脂がのっているから栄養剤みたいに讃えているわけさ」
たしかに、ペアで泳いでいるのをよく見かけます。魚の生態をよく観察している素潜り漁師ならではの命名です。


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